roika_works 単発 忍者ブログ
Twitterで投稿した小説やイベント参加情報をまとめています
Admin / Write
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

陽を受けてきらりと光る、アメジストのネックレス。小さな花の形を模したそれは、控えめな大きさだが私はそれがお気に入りだった。このネックレスは、成人の日に父親から貰ったものだ。「一人の女性として、頑張りなさい。辛ければ、笑いなさい。」と言った父の言葉の意味が、漸く私にも分かってきた。

拍手

PR
心がぺこりとへこむ様な気がした。少し傷付いたが、作り笑顔で乗り越える事が出来た。へこんだ場所を無理矢理、反対側から押して元の形に戻すようにした。最初より幾分か良くなったが、いびつなままであった。これを繰り返していく事で、心が壊れてしまうのだろうか。その限界値を、私は知らなかった。

拍手

時計の秒針の音だけが時間が止まっていない事を知らせていた。「もう、別れよう。」細かい言葉を省いて伝える。「分かった。もう限界だよね。」彼女は苦笑し、アイスコーヒーを一口。「私達の三年間、何だったんだろう。」独り言の様な呟きに「無駄じゃ無かったと思いたいよ。」と独り言の様に返した。

拍手

以前、彼女の誕生日に、花束と手紙を渡した事があった。彼女は驚いて、手紙を読んで涙ぐんでいた。花束も綺麗に生けて嬉しそうに笑った。そして、今年の彼女の誕生日に、花束と手紙と指輪を贈った。彼女は、ぽろぽろと涙を零して、それでも笑っていた。彼女の涙を見る事が出来るのは、自分だけだった。

拍手

貴方はいつだって、狡かった。私が貴方から離れられないのを知って、外に女を作る事も一度や二度では無かった。この手紙を読んだ貴方はどんな顔をするのかしら。いつもの様に手紙を丸めて、塵箱へ投げてお終いになるのかしら。貴方は浮気で妻を自殺に追い込んだ男として、影で言われる様になればいい。

拍手

いつか気持ちが伝わるだろうなんて、悠長に考えていた自分が憎い。当時の自分に会ったとしたら、『早く気持ちを伝えなさい。』と教えてやりたい。私の憧れていた彼と、私の親友が付き合っていると知ったのは、つい先日であった。親友から申し訳なさそうに言われた為、私は怒りの感情が湧かなかった。

拍手

薄い青空に、水彩絵の具の白を引いた様な雲が浮いている。今夜は星も見られそうだ。窓から空を見上げ、あの人は何をしているだろうかと考える。何度か文字を打っては消しを繰り返し『今夜、星を見に行きませんか。』と漸く連絡をした。返事はすぐにきた。『勿論、楽しみだ。』と短い言葉に心が震えた。

拍手

唯一つだけ君に伝えたいことがあった。何度もタイミングはあった筈なのに、私はいつまでも、その一言を告げることができなかった。卒業式が終わりガランとした教室の中、君はただニコリと笑い「またね。」と教室から出て行った。気が付けば、自分の鞄を引っ掴み大急ぎで、君の後ろ姿を追い掛け始めた。

拍手

もっと雨が降ればいい。悲痛も遺恨も苦痛も絶望も、何もかも全て洗い流してしまえばいい。夢見がちだというのは承知している。それでも、この世には悲しみが多すぎやしないか。君はどう思うかね?馬鹿みたいと一瞥をくれるだろうか、それとも賛同してくれるだろうか。君に会うと寂しさという、耐え難き苦痛は1つ世界から減ると言ったとしたら、君はどんな顔をするだろうか。

拍手

貴女の、はにかむ笑顔が好きです。前髪を切り過ぎてしまった、と恥ずかしそうにしている様子も滅多に見られない可愛らしい姿でした。いつもは、自分をぐいぐい引っ張っていく程、歩くのが早いのにたまに道に迷いましたと申し訳なさそうにする様子は、きっと自分しか見たことがないことでしょう。台所に立つときには、必ずエプロンをつけて料理をしている後姿を見るのが好きでした。腰に結ばれたエプロンの紐が少しだけ、不恰好な様子で片方だけたらりと長く紐が垂れ下がっているのもそれはそれで可愛らしいものです。普段しっかり者な貴女が不意に見せるそういった隙に、自分は心臓が一拍早くなるように感じていた。こういう姿を見られるのは自分だけと思うと、少し不思議な気持ちになった。

拍手

HOME | 23  24  25  26  27  28  29  30  31  32  33 

忍者ブログ [PR]