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猫がひとつ欠伸をし、くるりと丸まって寝始めた。自分の左側辺りに、ゆったりと寛いでいる。この距離が丁度良く心地良く思った。ゆっくりと呼吸の度に、背中の毛が上下をしている。『嗚呼、生きているんだなあ』と、その様子を見て安心して、丸まった背中を撫でる。するりとした毛並みに幸せを感じた。

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こくり、と隣の頭が揺れている。目もぼんやりとしており、瞬きの速度が徐々に落ちていく。『遠出だったから仕方ないな』と思い、彼女の様子を伺う。久し振りに遠出をしてみたら、彼女は嬉しそうに、辺りをぐるりと周り、昼食もしっかり食べていた。また、一緒に行けたらいいなと思い、彼女の手を握る。

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幸せは何色だろう。人によって違っていて、何通りもあるのかもしれない。ウェディングドレスの白、満開の桜の桜色、子供の小さい掌の色、静けさを保つ雪の色、艶やかな紅葉の色、遠くまで澄んだ海の瑠璃色、初夏の伸びゆく木々の青緑。上げていたらキリがない。あなたの幸せの色は、何色ですか?

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「力になりたいだなんて、傲慢よ。」この程度でへこたれる彼で無いことは、分かっていた。「笑顔でいられるようになるなら、何でもする。」そこで私はひとつの答えを出した。「私の友達になってよ。」と小さな声で呟く。「もう、友達だろ?」と、彼は不思議そうな顔をする。思わず私は笑ってしまった。

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リスクを気にせず、助けの手を差し出してくれる人がいたら、どれだけ幸せなことだろう。自分は子供であり、学校と家の中という狭い世界で生きている。そこから逃れられる術を持っていないのだ。親に蹴られて出来たアザを隠すように、分厚いタイツを履いて学校へ行く。誰でもいいから助けて欲しかった。

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ふと目が覚めた。カーテンの隙間より、朝日が差し込み壁が暖かく照らされていた。昨日は仕事の疲れもあって、泥の様に眠るだろうと思っていたが、結局は仕事に行く時と同じ位の時刻に目が覚めていた。『良くも悪くも、体内リズムが固定されているのだから仕方ないか』そんな事を思いながら、シリアルを深めの皿に適当に盛り牛乳をかける。何の変哲も無い、唯の休日だがこれはこれで良いものだと思っている。誰にも支配されず、自分の好きな様に過ごせる貴重な休みだ。さて、今日は何をするか。

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自分は他人に対して興味が薄い方だと自覚している。周りに合わせて、愛想笑いをしている。「私は、貴方の事嫌いよ。」彼女は此方を見ずに夕陽を見つめる。「うん、知ってる。」彼女が自分に対して、特別な感情を持っていない事は知っていた。「貴方、私に似ているんだもの。他人に興味ない所とか。」

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痩せ型で背が高く、あまり喋らないそんな彼の手は、骨張っていて指が長く無機質なようであった。喜怒哀楽を殆ど言葉で示さないが、それでも目の色で最近は分かるようになってきた。バイト上がりの時は必ず「おつかれ」と微糖の缶コーヒーを手渡してくれる、彼の律儀でさり気ない優しさが好きだった。

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触れたら、粉々に壊れてしまいそうだと思った。穏やかな寝顔、規則正しい呼吸音、閉じられた目の縁に並ぶ長い睫毛、高い体温。他の誰にも見せたくない、と思うのは傲慢だろうか。深い眠りに落ちる位に、心を開いてくれているのだと思うと、何故だか泣きそうなくらいに嬉しかった。

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自室の窓からは、注意さえすれば屋根に上がることができる。その日も家族が寝静まる頃合いに、事前に準備しておいた靴を窓の縁に座りながら履いた。この時の高揚感溢れる気持ちを、何と言えば良いのだろうか。態々屋根に上がる理由は、唯ひとつ。今日は流星群がピークを迎えるからだ。なるべく音を立てずに、静かに屋根を伝い寝転ぶのに丁度良い箇所にそっと座った。この夜は非常に空が澄み、星がとても良く見える。ひとつ、ふたつと流れる星を見て、これは君にも見せてあげたかったなあと、ふと思い出になってしまった、君を思い出した。みっつ、よっつ、流れ星は僅かな感傷の間も流れ続けた。

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