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幸せの数より、不幸の数が多くて感じる事は無いだろうか。大体、世の中は均等に出来ている筈なのに、不思議なものである。嗚呼、あの時ああしとけばと思う事も何度もある。それでも、我々は生きていかねばならぬ。過去に捉われ、足元を掬われぬようにしなければならぬ。しかし、後ろを振り向く事は決して悪事である訳では無いだろう。過去の自分の事を振り返り、前を見て進む必要があるからだ。我々は、幸せを見つけながらこつこつと生きるのである。

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少年、分かるかい。人生の中で夏というものは、精々八十回程度しかないのだ。その中で自我がはっきりしていて、自分の記憶にある夏が幾つあるのか数えてごらん。どうだい、八十回より少なくなるだろう。だから、少年よ、年長者として一つ伝えておこう。何もやらずに後悔するより、やって後悔する青い夏が、どれだけ尊いのかを。

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さざ波が響く中、本を読む。どんな本だって良い。小難しくたって、コメディだって良い。自分が好きな本を読む。幾つか章を読み進めているところで、波の音に紛れて私を呼ぶ君の声がする。ふと視線を上げると、浅瀬で膝まで浸かった君が手を振る。それに、手を振って応えると、満足そうに沖へ泳ぎ出す。

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夕立後の陽光が、葉の輪郭をくっきりと照らす。葉に乗っている雨粒は丸く、風に合わせてゆらゆらと揺れる。雨により冷やされた地面からは、幾らか涼しさを感じられる。空は綺麗に洗われて、日が傾き始めた。雲が橙に徐々に染められていく。さて、夕餉はどうしようかと考える。

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空の雲は白くあちらこちらに、高く低くぷかりと浮かんでいる。涼しげな空の青色とは対照的に、気温は酷暑を極めている。額を伝う汗を拭い、蜃気楼が揺らぐアスファルトを見る。くらくらと目眩を起こしそうである。ペットボトルの蓋を開け、ごくりと一口。熱を持つ身体が、幾らかマシになった様な心持ちになる。待ち合わせ場所に居るであろう君を心配する。近くの喫茶店にでも入っている様に連絡したので、そうしていてくれる事を祈るばかりである。この炎天下、君を外で待たせてしまっては、申し訳ない。さて、もう少し頑張るとしよう、と再び歩みを進める。

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手に馴染む柔らかな毛が、きらきらと太陽光を浴びてその輪郭を煌めかせている。縁側にて寛いでいたところ、奥の間から猫がふらりとやってきた。甘えた鳴き声をあげ、胡座をかいていた自分の膝に上がってきた。そのまま、居心地の良い場所を探して猫は寛いだ様子で、膝に顎を乗せて、ぼんやりと外の様子を眺めている。一人と一匹、時間の流れはゆったりとしている。たまにはこんな日があっても良いだろう。

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機械的な電子音が鳴り響き、目を覚ました。ああ、もうこんな時間か。起きなくては。のろりと起き上がり、ひとつ伸びをする。嗚呼、今日からまた一週間が始まる。先週のあれこれをどうしようか、など仕事の事を考えている。
「おはよう。」
ふわり、とした君の声に隣を見る。寝ぼけ眼の君は、大きな欠伸をひとつ。どんなに遅く寝ても、君は僕と同じ時間に起きる。
「寝てて良いよ。」
身支度を整えながら、君にそう声を掛ける。
「うんー。」
そう言いながらも君はテレビのスイッチを入れて、天気予報を見ている。
「雨は大丈夫みたいだよ。ただ、凄く暑そう…。」
心配そうな様子で、君は此方を振り返る。ゆるりとしたTシャツの襟元から、鎖骨が見える。
「大丈夫、気をつけるから。」
君の頭をくしゃり、と撫でると。うふふ、と嬉しそうに笑う。さて、そろそろ家を出なければならぬ。
「それじゃあ、行ってきます。」
「行ってらっしゃい。気を付けて。」
君は玄関先までついてきて、小さく手を振る。ドアを閉めて、鍵を掛ける。大事な君が誰かに取られないように、念入りに確認する。

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目が覚めたが、まだ夜だ。鈴虫の鳴き声が聞こえる。蚊帳の向こうは、夜色に染まっている。何も見えないが、徐々に目が慣れて自分の周囲程度は、把握出来る様になった。真上に手を伸ばす。手を握ったり開いたりしても、そこに夜を捉えられる事は無かった。すぐ向こうは、夜だというのに不思議なものだ。

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フォロワーさんにお題を頂いて、140文字小説を書きました。

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雨上がりの湿度の高い空気が、身体に纏わりつく。風も無く、気温の割には体感温度は高く感じられた。鞄から扇子を取り出し、僅かながらの涼を求めて扇ぐ。何もしないよりは、マシという程度である。夕立後の空は綺麗に洗われて、真っ青に澄んでいた。所々に雲が湧き、空の淵は夕暮れの橙色に侵食されつつある。さて、早く帰らねば。畳んだ傘の先端から、ぽつりと雨粒がアスファルトへと吸い込まれていった。

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