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ひとつ、ふたつと、無くしたものを数えていく。
ペンのキャップ、片方だけの靴下、数えればキリがない。
物を簡単に無くす性質を持った自分に呆れる。
逆に手に入れたものは、あるのだろうか。
新しいペン、新しい靴下、君からもらったキーホルダー。
最近思いつくものだとこんなものか。
以前、家の鍵を無くした際に、君からキーホルダーを貰ったのだ。
「これなら分かるでしょう、鈴がついているから。」
そう言って手渡されたキーホルダー。
貰った時よりも、うっすら傷が付いたり汚れたりしている。
これだけは、無くしたことがなかった。
不思議なものである。


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いつも通りの朝、いつも通りの通勤電車、いつも通りの仕事。
全部全部、いつも通りに終わる。
そして、私はいつも通り定時過ぎに会社を出る。
寄り道をする事は、殆んど無い。
そのまま、まっすぐ自宅へと向かう。
いつも通りの帰りの電車。
窓ガラスに映る私は、少し疲れた顔をしている。
でも、これもいつも通りのこと。
そして、自宅へ帰り着く。
玄関のドアを開け、ただいまと呟く。
にゃおん、と部屋から声が聞こえる。
明かりの点いた玄関へと我が愛猫は、やってくる。
いつも通りだ。
私は、この「にゃおん」を聞く為だけに
仕事に精を出していると言っても過言では無かった。


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薄手のタオルケットを被り、ベッドに横になる。
まだ羽毛布団を出すには、早いかと思案する。
秋雨前線の影響で全国的に、天気は悪いようだ。
こうなると、洗濯物が溜まる一方になる。
幾ら除湿機をつけてみても、陽の光で乾かした洗濯物には敵わない。
家事の中でも、洗濯物は好きな方だ。
ピンとしたシャツや、ふんわりしたスカートがベランダの物干しざおでゆらゆらと揺れている。
その光景は、不思議と私を幸せな気持ちにさせる。
紛れもなく、平和な1日であると、ほっとするのだ。

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「これ、ありがとうな。お陰で勝てたよ。」
「良かった!」
試合前に貰ったミサンガをつけた左腕を見せると、君は嬉しそうに笑った。
部活で地区予選突破となるか、という大事な試合があった。
その試合の前日に、このミサンガを貰ったのだ。
手作りのミサンガを貰うのは、初めての事だった。とても嬉しかった。
試合の結果は、冒頭の通りである。
無事に試合に勝ち、地区予選突破となった。もうすぐ、県の代表を決める試合が始まる。
「なあ、ずっと言おうと思ってたんだけど、お前の事好きなんだ。」
「え、…え?」
君は大きな目を見開いて、ぽかんと口を開けている。
いきなり過ぎたか?でも、地区予選突破したら、言おうと自分の中で勝手に決めていたのだ。
「よかったら、付き合って欲しい。」
「え、あの、私で…いいの?」
「当たり前だろ。」
「うん、ありがとう。私も好きだよ。」
君は、おずおずとそう言い恥ずかしそうに顔を覆った。
「もう、いきなり過ぎ。びっくりした。」
大きなため息と共に、顔を覆っていた手が外された。
「なあ、ハサミある?」
「え?あ、ソーイングセットのなら…。」
鞄の中をガサゴソと探した彼女は、小さな水色のハサミを取り出した。
「切って、これ。」
「え?」
そう言って左腕のミサンガを見せると、驚いた顔をした。少し困った顔して、それでも言う通りに彼女は、ミサンガを切った。
「願い事叶ったからな。お前と付き合える様に、って思ってたから。」
「も、もう、恥ずかしいこと言わないでよ!」
彼女は顔を真っ赤にして、それでも少し嬉しそうに笑った。


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ぽつり、ぽつりと雨が降る。夏が終わり、肌寒くなってきた。近頃はテレビで秋雨前線という言葉もよく聞くようになった。今日も昨日と変わらず、天気が悪い。雨が降り、雲が空を厚く覆っている。授業が終わり、帰り支度をしていると、教室のドア付近から視線を感じる。ふと視線を向けると、彼女がいた。一緒に帰ろう、と口の動きで伝えてきた。頷いてから、支度をして教室を後にした。

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夕方の風が、身体を撫ぜてゆく。昼間に比べれば大分、過ごしやすくなってきた。
空は茜色に染まっている。雲は随分と高い位置に筋状にある。
秋の空だ。
私はこの季節が好きだ。
夏の終わりと秋の始まりの、この季節は何と呼べばいいのだろう。
ヒグラシが鳴き、スズムシも鳴き始める。私は立ち止まって、夕陽を見ていた。
別に何を考えている訳でもなく、ただただ私の周りにある自然を五感で感じたかったのだ。
目を閉じて、ゆっくりと深呼吸する。季節の変わり目の、匂いがした。

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庭にコスモスの蕾がいくつか見える。自分で植えた覚えはないので、風や鳥によって運ばれてきたのだろう。私が特に何もしなくても、コスモスはすくすくと育ち今ではその蕾を開こうとしている。コスモスの色を、私は想像する。ピンク色も良い、白色も良い。私は、コスモスが花開くのを心待ちにしている。

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君は海が好きだった。サトウキビ畑を抜けた先、真っ青な空と海が見える。その風景は、息を呑むほど美しい。君の瞳に映り込む海を見て、その世界に入り込みたいと思った

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風が早い。雲がどんどん流れて行き、次々と雲がやってくる。灰色になった雲は彼方此方で、雨を降らしてきたのだろう。此処もいずれ、風で運ばれた灰色の雲で雨が降るだろう。恵の雨となるか、災厄を招く雨となるか、どちらだろうかと自宅の窓から、流されて行く雲を見ながら考える。

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さらさらと風に吹かれる砂浜。砂浜を歩くと、足が沈み込み白砂に包まれる。裸足で波打ち際を歩く。砂独特の感触に、波がしっとりと足を洗っていく。波音を聞きながら、波打ち際を歩いていく。心地よい。何を考えるだけでもなく、ただ歩く。小さなカニが小走りで波から逃げて行く。その様子を横目に、ただ歩く。何から逃げる訳でもなく、ゴールもない。

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