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お題:イルミネーション
お題提供:シキちゃん

地上に星が落ちたのかと、見紛う程に街路樹が煌めいていた。
この季節は、華やかで良い。
いつもの道も、変わって見えるのだから、不思議なものだ。
隣を歩く君は、何度か立ち止まり写真を撮っていた。
その度に画面を見ている。
「上手く撮れた?」
「うん!」
煌めく街の写真を見て、彼女は微笑んだ。

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雨だ。傘を使うかどうか迷う、細かな霧雨が街を覆っている。
しっとりと濡れた街路樹に、水が染み込んで僅かに色が変わった、石畳の歩道。
眼鏡につく水滴が気になって、結局傘を使うことにした。
傘の表面には小さな雨粒が乗っている。
霧雨の音は、殆んど聞こえ無い。
街の雑踏の方が、余程耳につく位だ。

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ぽつりと雨が落ちてきたと思ったら、次第にアスファルトは雨粒に塗り替えられた。
最寄駅へと向かう。
君は傘を持って行かなかった。
そうして、僕はお迎えとして最寄駅に参上する訳である。
改札前で待っていると、仕事帰りで遅くなった君が来た。
此方に気がつくと、いつもの笑顔で笑ったので手を振った。

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遠くにどんよりとした雨雲が見える。
足音もなく、しかし確実に此方へ向かってくる。
風が強くなってきた。
君が話す言葉を聞き取るのが、難しくなる。
「僕は大丈夫だから。」
風邪がびょうびょうと吹きすさぶなか、それだけ伝える。
彼女は頷いて、笑った。
そして、煙の様に消えてしまった。

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サラサラと音が聞こえる。
砂時計の砂が落ちるような、
波が打ち寄せるような。
サラサラ。
君が髪の毛を梳かすような、
カーテンが風で揺れるような。
サラサラ。
動かなくなった君のような、
小鳥の羽ばたきのような。
サラサラ。
君の骨が零れ落ちるような、
僕の頬を伝う涙のような。

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貴方は大切な人の事、どのくらい記憶していますか?
顔、声、背格好、歩き方、視線の動き、身振り手振り、少し困った様な笑顔、大きな掌。
2人のルールはありましたか?
歩く時には手を繋ぐ様になっていること。
どんなに遅くても家には帰ること。
私は貴方にどれくらい記憶して貰えているのでしょうか。

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真実を全て語るのが、優しさではないよ。
時には優しい嘘も必要さ。
君には、ただの偽善に聞こえるかもしれない。
だがね、真実が人を傷付けることも、大いに有り得る事なのでね。
僕は偽善者だから、優しい嘘を吐く。
真実を伝えて、傷口を抉る事を、僕はしたくないのだよ。
どちらが本当の優しさだろうね。

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分かるかい?
四季が巡る度に、少しずつ指先から溢れ落ちて行くもの。
そう、過去の記憶だ。
新しい記憶に押し退けられ、過去の記憶はどんどん遠くへと行ってしまう。
霞掛かった記憶は、輪郭を朧げにして、いつしか手の届かない場所へと行ってしまう。
指先から溢れ落ちた記憶は、二度と戻る事はないのだ。

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冷えた朝だ。
フローリングに降りる足先が、氷のように冷えていく。
季節は巡り、すっかり冬の様になってきていた。
冷たいフローリングを、爪先で歩く。
着替えて身支度を整える。
どうやら今日は冷える様だ。いつもより着込む。
朝食代わりのブラックコーヒーを飲み、家を出る。
冷えた空気が肺を満たした。

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彼の足音を聞いて歩く。
落ち葉を踏みしめる音。
この時期しか聞こえない、些細な秋の音。
小枝がパキリと折れる音、落ち葉が踏まれて破れる音。
まさに、秋の音と言える。
私は暫し目を閉じる。
カラスの鳴き声が聞こえ、風の音で木々が擦れ合う音もする。
彼は此方を振り向いた。
私は早足で、彼の元へ急ぐ。

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