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きらりと光る指輪が、彼女の指から零れ落ちそうになる。「大分指輪が緩くなってしまって…。」病魔により、随分とやせ細った彼女は、枯れ木のような細い指で、指輪を指の根元へと戻した。見舞いに来る度、彼女の具合が悪くなっているのが素人の自分でさえも分かった。そこからいつものように何も気付かないふりをしながら、徒然に会話を交わした。夕日が窓から差し込む時間になると彼女は決まって「いつも来てくれて、ありがとう。」夕日に照らされる彼女は、どこか現実味が無かった。「好きで来てるから、気にするな。」そう言うと彼女は、にこりと笑った。こんなに儚い笑顔はかつて見たことがなく、グッと心臓を鷲掴みされたような心地がした。
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