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お題提供:すまるちゃん

私のご主人は、私とずっと一緒に居る。
家事を終えてのんびりしているご主人の膝の上に飛び乗る。
そうすると、ご主人は私の背中をゆっくりと撫でる。
あまりにしつこいと逃げたくなるが、ご主人はそれを心得ているようであった。
この生活がきっとずっと続くのだろう。
私はひとつ溜息を吐き、目を閉じた。

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※お題箱より頂いたお題です。

『これ全部は、食べられないよなあ』
手提げの紙袋の中には、様々なチョコレートが入っている。
何故だかモテるらしく、毎年この紙袋いっぱいのチョコレートを手にする。
『家に帰ったら、選別しないとな』
そう考えながら、自転車のカゴに紙袋を入れる。
『あの人から貰えないと、意味が無いのに』

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分かることはほんの少しだけ。
分からないことの方がうんと多い。
私は無知だ。無知故の愚行も多い。
だが、それで良い。
人は失敗し、そこから学べる生き物だからだ。
だからこそ、大いに失敗し学べばいい。
その失敗が許されるのは、今だけなのだから。
限られた時間で、どれだけ学べるかは自分次第である。

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マグカップに注がれたココアは、柔らかい色をしている。
2人でソファに座りながら、ココアをちびちびと飲んでいた。
まだまだ冬は色濃く残っており、夜は冷える。
寒いからと言い訳をしながら、2人で寄り添っていた。
映画を観ながら、たまに欠伸を噛み殺しブランケットをかぶる。
「寒いから仕方ないな」

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昨日の夜は、夢の中。
あやふやな記憶を辿って、君に辿り着く。
温かな体温と対照的な、冷やかな眼差し。
君は、僕を軽蔑しただろうか。
霞を掴むように、記憶を辿っても分からない。
そんなあやふやな、僕等の関係。
誰に説明することも出来ない、あやふやな関係。
温かな君の体温を僕は忘れる事が出来ない。

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お題箱:あの日の私

「あなたはそれで良いの?」
その声に驚いて振り向くと、ランドセルを背負った小学生時代の自分が居た。
何が良いのか悪いのか、私には分からなかった。
ただ、胸に痞えている棘の様な物があるのは分かる。
それを今になって、思い出した所でどうしようもない。
「それで良いと思わないと前に進めない」

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「助けて」と言えたら良かったのに、と火傷の痕をなぞりながら今でも思う。
そう言えていたら、私は少しは綺麗でいられたかもしれない。
痕を気にして前髪をずっと伸ばし続けていなかったかもしれない。
私を気味悪がる人は、少なかったかもしれない。
それでも当時の私は助けてという一言が言えなかった。



彼女を守りたいと初めて思ったのは、随分と前の事だ。
アシンメトリーに伸ばした髪が印象的な子だった。そして無口だった。
髪の長い方から話し掛けると、彼女は決まって聞き返した。
不思議に思ったが問いはしなかった。
風が吹いた時に、右頰がチラリと見えた。
酷い火傷の跡が右耳に掛けて広がっていた。
彼女は慌てて、髪の毛を押さえた。
泣きそうな顔で、僕を見て何故か彼女は謝った。
こんな私でごめん、と。
僕は彼女にハンカチーフを差し出し、僕が君の耳になると伝えた。
彼女は静かに声を殺して泣いた。
ハンカチーフが、ぐっしょり濡れる程泣いた。



嬉しくて泣く日が来るなんて、思っていなかった。
差し出されたハンカチーフに、次々と涙の染みが出来、暫くするとぐっしょりと濡れてしまった。
落ち着いた頃に、大丈夫?と静かに聞かれた。
何度も頷いて答えた。
何か言葉を発すると、泣いてしまいそうだったのだ。
きっと彼は、それを察していただろう。

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その少女は森の中の洋館に住んでいた。
時折来客が来るだけで、静かな洋館だった。
少女の両親と少女と、住み込みで働く手伝い人が数人居る。
少女は洋館裏手の庭を抜けて、森へと散歩しに行く。
彼に出会ったのは、春の日の事だった。
森の木々が芽吹きだして、森全体が薄い緑色に覆われている。
小鳥達の囀りが耳に心地良い。
少女は鞄の中から、本を取り出し木の根元に座り読み始めた。
木々の木漏れ日が、本のページをゆらゆらと照らす。
その時、草を踏みしめる足音に気が付いて顔を上げた。
「あなたは誰?」
焦げ茶色の髪の毛をし緑色の瞳を持つ青年は、少し驚いた顔をした。
「僕は、トム。君は……?」
「私はアリス。彼処の洋館に住んでいるの」
アリスが指差した方向をトムは見る。
何かを察した様にトムは頷いた。
「あの洋館のお嬢様か」
「ふふ、そんなお嬢様だなんて」
照れ臭そうにアリスは笑ってみせた。
「よく此処には来るの?」
「ええ、散歩がてら来ているわ」
「じゃあまた会える?」
トムは、少し遠慮がちにアリスに聞いた。
「勿論よ」
アリスの笑顔につられて、トムも笑顔になる。
これがトムとアリスの出逢いだ。

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ホットミルクで満たされたマグカップは、温くなっていた。
数度口を付けながら、読書をしている。
ゆっくり読書が出来る時間が取れるのは、久し振りの事だった。
ただ眠るのも勿体なく、数ヶ月机の片隅にあった、文庫本を読む事にしたのだ。
頭の中に、小説の情景が浮かぶ。
ふと、そこに君を見た気がした。

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私は俗に言う猫である。
品種は多種多様で、愛玩動物として多くの人間に飼われている猫。
私もそのうちの1匹だった。
私のご主人は寝起きがすこぶる悪い。
目覚まし時計が鳴っても、中々起きてこない。
いつも、もぞもぞと布団の中に籠る。
それが私が一声鳴くと、すぐに布団を跳ね除けるから面白いものだ。

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