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時間は戻らない。時間は進められない。過去に戻る事も、未来へ行く事も出来ない。僕等は今を生きるしかない。例えそれがどんなに辛くても、今以外の場所に僕等の居場所は、ありはしないのである。昔は良かったと苦笑して紫煙を吐き出す君も、今以外の場所には存在すら出来ない。時間は、残酷で平等だ。

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微風に秋の匂いが混じる、この時節の事を何と言うのだろうか。隣を歩く貴女は、ストールを羽織り歩いている。その度に細い手首が、ストールの隙間から覗く。手を取り合って貴女と共に歩くには、僕はまだ子供過ぎる。手持ち無沙汰なのを誤魔化す様に、道端に生えている雑草を千切ってそれを手に歩いた。

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お題:ミートパイ

僕が子供の頃、姉さんはよくミートパイを作ってくれた。歳の離れた姉さんは、僕の事をとても可愛がってくれたと最近気が付いた。ふと、ミートパイを見かけると姉さんの事を思い出す。僕にとって家庭の味の一つである。姉さんは、もうすぐ子供が生まれる。きっとその子も、ミートパイを食べるのだろう。

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お題:輪切りのトマト

ザクザクと野菜を切る音がする。キッチンに立つ君は、手際良く料理をしている。彼女は料理が好きで、よく手料理を振る舞ってくれる。テーブルには、サンドウィッチとサラダとスープが用意された。彼女はにこりと笑ってアイスコーヒーをテーブルへ置いた。二人でサンドウィッチを頬張る。夏の味がした。

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お題:ひみつ

唇が離れた時、言葉を発しようとしたが遮られた。人差し指を唇にあてて、静かにと口だけが動く。ガヤガヤとした校舎の中、空き教室で僕等は逢瀬を繰り返していた。空き教室だからといっても、誰も来ないという保証は何処にも無い。このことは、誰にも知られてはいけない。僕等二人だけの、秘密である。

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お題箱より、お題:青空

夏の雲は、どの季節よりも良い。もくもくとした積乱雲が、夏らしい群青の空に浮かんでいるのを見ると、また一年が過ぎたと実感する。星は昼でも輝いているというが、君は果たしてどの星になったのだろうか。この青空の下では、幾ら探しても見付けることは出来ない。君からは僕が見えているのだろうか。

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お題箱より、お題:カーテンの隙間から

カーテンの隙間から、朝陽が差し込む。小鳥の囀りや虫の声が、静かな朝によく響いている。隣で寝息を立てているあなたを起こさぬ様に、そっとベッドを抜け出した。キッチンで珈琲を淹れながら、あなたが起きるのを待つ。静かな朝に珈琲の香りが豊かに香る。これがいつもの朝、なんでもない毎日である。

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「私に幸せになる資格なんて何処にも無いよ」そう言って彼女は苦笑いをする。後悔を引き摺って、この先の人生を歩いて行くというのだろうか。自分で自分を許すことが、彼女は出来ないのだ。たった一人で後悔という枷を引き摺って、彼女は今日も苦笑いをする。「私の分まで、幸せになってね。絶対よ?」

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森は静寂に包まれていた。風も無く、木立もぴくりとも動かない。世界から音を失くしたら、こんな風になるのだろうか。森の中にある湖は、鏡のように月と森の木立を写している。手頃な石を拾って、湖に向かって投げる。手を離れた石は、弧を描いて湖に吸い込まれる。ドボン、短い音と共に水面が揺れる。

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『今、何してる?』曖昧な疑問を投げ掛ける。何処かへ出掛けているかもしれないし、家で寛いでいるかもしれない。僕の連絡に返事が来るか如何か分からない。ただ恋しくて連絡をしたくなったのだ。もっと良い文面にすれば、良かっただろうか。ただ、寂しいという感情で君に縋り付いている。滑稽な話だ。

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