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姿も声も聞こえなくなってしまったのだろうかと心配になる程、私の存在は無くなっていた。掌を目の前に翳すと、向こうの景色が透けて見えたし、話し掛けても声は誰にも聞こえていないということだ。誰も私に気付かず、私のことを誰も知らない。何年も過ぎてしまった頃には、私は言葉も忘れてしまった。

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梅の蕾が大きくなっていたことに気が付いた。どうやら随分と外を見ていなかったようである。立春も過ぎ暦は春となったが、風はまだ足元を冷たく舐める。梅の花が咲くのは、いつ頃だろうか。暮らしの中で、そうしたことに気を向ける余裕がなかった。勿体無いことをした。梅が咲いたら暦に印をつけたい。

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悲しかったことはとてもよく覚えている。ペットが死んだことも、友達と喧嘩したことも、好きな人と別れたこともよく覚えている。泡が湧き出るように、そういったことを思い出す。泡は弾ける。悲しかったことは消えない。何度でも湧き出てくる。ひとつひとつ悲しかったことは積み重なる。消えはしない。

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ペンを紙に走らせているときは、心が落ち着いている。紙の手触りやインクの滑り具合、そういったものが心地良い。静かな部屋に、ペンを走らせる音が響く。自分の手に残るということが、安心するのかもしれない。言葉も体温も気持ちも、時間が過ぎれば皆朧になる。紙に残すことで、繋ぎ止めているのだ。

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疎外感というものを感じて一歩踏み込めない。アクリルの壁があり、彼方と此方では少しだけ世界が違う。親しい仲間内でそのように感じるのである。仲間外れにされているという訳ではない。双方そういうつもりはない。それでも疎外感という壁は壊れてくれない。此方は呼吸が苦しいが、彼方はどうだろう。

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砕いた石を撒くと星空を作ることが出来る。これが偽物でも美しいのだからいいのである。砕くという行為は単なる破壊にすぎない。破壊された石の欠片を美しいと思うのは、自分勝手かもしれない。破壊から生まれる物というものに貴さや美しさを感じる。そこにはただの欠片ではなく儚さというものがある。

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騙されるというのが恋の第一段階ではなかろうか。善い人間であり欲深くなく誠実であるという、その人の言葉を成る程と受け取るところから始まる。実際にどんな人間であるかは分からない。疑ってばかりでは何も始まらないのは事実である。一先ず騙されてやろうということである。少し、盲目と似ている。

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希望を持たなければいけないと言われるのは、心が重たくなる。呪われているような心地さえする。悲観をすることは悪だろうか。少なくとも、希望を持つということは強制されるべきことではない。希望を持った振りをするのは簡単だ。口先でどうとでもなる。希望を持つべきだと言われると呼吸がしにくい。

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凡人には凡人の、天才には天才の、それぞれの悩みがある。解決のための助力は難しくても、何も言わず寄り添うことは出来る。無責任な言葉よりも側に居てくれることの方が、余程信頼出来る。互いに違う個体だから、何もかも共有するのは難しい。ただ共感して、寄り添うことは出来る。それしか出来ない。

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声が咄嗟に出ないことに気が付いた。何かを言おうとした時に、喉の奥が張り付く感覚。そのお陰か余計なことを言わずに済む。悩みの共有は出来ないが、仕方のないことなのかもしれない。余計なことを言わずに済むことで、善い人間だと勘違いをされる。声がきちんと出るようになったら、失望されそうだ。

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