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「おかしい、掛かって無いな。」
丁度、階段の辺りで声が聞こえた。
「ああ、でも間違いなく反転してきているはずだ。」
二人の男性の声だ。でも、恐らく人間ではない。
麗花はなるべく二人の方を見ないで、手元の札をじっと見つめる。
「まだ何処かにいるのか?」
「そう遠く迄逃げられないだろう。人間如きが。」
「まずは、この中探してからだ。」
「はいよ。」
どうやら、二手に分かれて探す事になったようだ。
そして彼らが探しているのは、麗花である事も分かった。
何故なのか、理由は分からないがここは見つかる訳にはいかない。
一人は青い肌に、黒い角が二本あり身体は鱗の様なもので覆われている。
もう一人は、褐色の肌に角が一本で額に目があった。
額についた目は、辺りをキョロキョロと忙しなく見ている。
目が合ったら見つかってしまう気がして、麗花は目を瞑った。
『どうか見つかりませんように。』
そう祈りながら、ずっと札を持っていたが手の震えが止まらない。
睡蓮がそっと、手を乗せてゆっくりと何度も撫でた。
少し恐怖心が収まった麗花は、睡蓮に向かって頷いてみせた。
「チッ、此処にはいねえか。」
「仕方がない、他を当たろう。」
「全く、やっかいだな。」
そうボヤキながら、彼等は神社から去って行った。
ほっとした麗花は、額の汗を拭う。
「もう喋って大丈夫ですよ。ご主人様がいらっしゃいました。」
「え?」
ベンチから振り返ると、男女が此方へ近付いてきた。
「よう、お嬢さん。二度目だな。」
「あ、貴方はこの間の…。」
前回此方の世界に迷い込んでしまった時に、助けてくれた人物だと分かった。
「ったく、階段気を付けろって言ったろ。」
「すみません…。」
「まあまあ、良いじゃない。この子は無事だったんだから。」
不機嫌そうな狐浄に、凛孤はそう言った。狐浄はまだ何か言いたそうだったが、口を閉じた。
「私は、初めましてよね。こんにちは、麗花ちゃん。私は、凛孤よ。」
「あれ、どうして私の名前を…?」
初めて会う相手なのに、何故知っているのか麗花は不思議がる。
『私が、伝えましたので…。』
「あ、睡蓮のご主人様ってこの人なのね。」
そこで漸く合点がいった。
「まあ、そういう事さ。」
「さて、話が済んだなら今日の事少し詳しく聞かせてくれ。」
狐浄は麗花にそう言った。
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