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今にも泣きそうな顔をしてこちらを見つめる瞳をじっと凝視する。甘い雰囲気だなんてとても言えなかった。目尻に薄っすらと膜を張った様を見て、次に瞬きをしたら溢れてしまうだろうなと悠長に思った。酷く悲しんでいるのは見て分かったが、何が原因なのかは皆目見当がつかない。わざわざ慰めるほど自分の性格が優しくないことは、よく知っている筈なのに何故こういう顔をするのか。不愉快だった。困ったように眉尻を下げ、ごめんなさいと言う。怒った覚えも叱った覚えもないのだが、と思うが口にはしなかった。代わりに溜息が漏れる。好きです、涙が一粒また溢れた。その言葉はそんな顔をして言うものなのだろうか。向けられた言葉は、突き動かされるような強さはなく部屋に浮かんで霧散した。返事はしなかった。黙ったまま、頰に触れるとそこはしっとりと濡れていた。こういう顔はさせたくないと漠然と思った。それが好意からくるのか、同情からくる感情なのかまだ自分には区別がつかなかった。驚いたように瞬く目尻を親指でそっと拭う。ぷつり、と親指に乗った涙はゆっくりと重力に引っ張られ下へ下へと落ちていった。

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【登場人物】
■長谷川 卓(はせがわ すぐる)
物語中で『先生』と呼ばれている人物。20台半ばでありながら文芸誌に幾つかの連載を持つ、若き文豪である。短い黒髪をまとめ左側へと前髪を流している。未だに着物を着ているのは、単に着慣れているからという理由だけである。原稿用紙とペンがあれば、生きていける人なので、食事が疎かになりがちである。その為、痩せ型でどことなく不健康そうな顔色をしている。散歩以外では、殆ど外に出なくても平気な、インドア派である。読書以外の趣味は散歩。町内を回って河川敷に行くコースが気に入っている。智恵子に対しては、妹の様だと思っている。

■森山 智恵子(もりやま ちえこ)
物語中で『君』若しくは『彼女』と呼ばれている人物。10代半ばを過ぎた辺りの年齢。長い黒髪をおさげに結っている。活発でどちらかと言えば、外に出ている方が好きな方である。趣味は読書で、様々な文芸誌を読み込む、読書家である。学校終わりには卓の家に遊びに来る事が、日課となりつつある。読書以外の趣味は、料理や裁縫。卓の為に夕飯を作ってから、いつも帰宅をしている。卓に対しては、一ファンとしてより兄として慕う気持ちが大きくなってきた。

■そもそもの出会い
たまたま、卓の家の近所に住んでいた為、直接訪ねて卓の連載誌にサインを貰えないかと智恵子がお願いしに行ったのが切っ掛けであった。卓はそう言った頼み事を受けるのが初めてであった為、少しぎこちなく『森山智恵子さんへ、長谷川卓』と文芸誌の表紙にサインをしたためた。智恵子が嬉しそうに、何度も頭を下げ、翌日に菓子折りを持ってきた。

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【登場人物】
■タケル
カエデと出会った時点では、小学3年生であった。最終話では、小学4年生で10歳となっている。塾が無い日は、公園や校庭で友達と遊んでいた。極々普通の少年である。好きな教科は、理科と体育。塾に通っている為、塾仲間もおり友達は多いタイプである。動物が好きで、カエデに興味を持ち話し掛けた事から物語が始まる。

■カエデ
公園に居ついている野良猫。
毛色は三毛、年齢は不詳。他の兄弟猫も居たが独り立ち後は、会う事は無かった。毎日の生活の退屈さから、カエデは自分の言葉が通じる人間を、探していた。そこで公園に遊びに来たタケルと出会った。カエデは初めて言葉が通じる人間と出会う事になり、タケルと共に四季を巡る物語を紡いだ。気紛れな所もあるが、基本的にタケルの質問には、きちんと答えてくれている。

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無事に連載を終える事ができました◎
皆様のお陰です。どうもありがとうございました。
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1話目 僕等の出会い
2話目 僕等の日常 ※最終話

番外編
二人遊びの糸電話

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第1話 日直
第2話 変わり者同士
第3話 好きな教科
第4話 橙色の教室
第5話 校門前にて
第6話 下の名前
第7話 呼び方
第8話 記憶の一欠片
第9話 やり切れない過去
第10話 交わらない世界

第11話 切っ掛けの言葉
第12話 友達になった日
第13話 ひとつ目の繋がり
第14話 知人以上、親友未満
第15話 第一印象と今の印象
第16話 お人好しの友人を想う
第17話 心の変化
第18話 君の事を知りたい
第19話 文字を交わす
第20話 惹かれる点

※続きは冊子にまとめました※
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【お知らせ】
4月から連載を始め、漸く終わりを迎える事が出来ました。
読んで下さった皆様、ありがとうございました。

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【各話へのリンク】
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第1話 とある二人の物語
第2話 二人の日常
第3話 二人の擦れ違い
第4話 これからの二人 ※最終話

番外編
願い事
夏祭り
内緒話の糸電話
文字に溢れかえる部屋
年の瀬に



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