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一気に秋めいてきた、今日この頃。
私は原稿を書いている。
大体いつもこの文机に向かい、ペンを走らせている。
時折、資料の本を読み、ページに栞を挟みその場へと置いておく。
そうして私の部屋は、文字に溢れかえってしまう。
「卓さん、何かお片付けしましょうか?」
「ん、悪いね、これ以外は適当に本棚にしまって貰えるかい?」
「分かりました。後で、お茶持ってきますね。」
「ありがとう。」
私が原稿に追われていると、君はこうして文字に溢れかえった部屋を少しずつ整えてくれる。
適当にしまって良いと伝えても、君はきちんと元の場所に本をしまう。
いつの間に覚えたのだろう。
なんだかんだで、長い付き合いだから自然と覚えてしまったのだろうか。
君が本棚に本をしまっていく音を聞きながら、私は原稿を進めていく。
今日中には、なんとかなりそうだと目処が立ってきた。
「お茶持ってきますね。」
「悪いね、助かるよ。」
「良いんです、私が好きでしていることですから。」
そう言って君は台所へと行った。
色々と細やかに気遣いが出来る君を、私は尊敬している。
私には、そういったことが中々出来ない。
君はすぐに戻ってきて、にこりと笑った。
「卓さん、休憩も大事ですよ。」
「そうだね。君の言うとおりだ。」
小さい折り畳み机を引っ張り出し、そこに急須と湯飲みが乗った盆を置く。
「この茶葉美味しいので、どんどん減りますね。」
「本当だ。また買いに行かないといけないなあ。」
「明日辺り、お散歩しながら行きましょう。」
「そうだね。」
湯飲みに注がれた緑茶は、綺麗な薄緑に輝く。
私は湯飲みに口をつけて漸く、ほっとした心持ちになれた。
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