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「さて、と。」
いつも通りの掛け声で立ち上がる。
男の肩にはクーラーボックスが掛けられている。
男の肩にはクーラーボックスが掛けられている。
「それじゃあ、また。」
「ええ、またよろしくお願いします。」
いつも通りのやり取りだ。
ドアを閉めて、男は悠々と階段を下りて行く。
空になったクーラーボックスは、軽くて良い。
「終わりましたか。」
「ああ、大丈夫だよ。」
クーラーボックスを後部座席に置き、助手席へと乗り込む。
「しかし、あれだけの量、相手も欲しがるんですね。」
「そうなんだよ。まあ、良いお客様さ。金払いも滞り無い。」
男が生業としているのは、臓器売買だった。
今日はいつもより、心臓の数の要求が多かった。
表に出る事の無い臓器は、闇市場で取引される。
「戻りましょう。」
車のエンジンを掛けて、助手は車を発進させる。
灰色のビル群を見て一言呟く。
「ああ、今日も働いたなあ。」
ソファで2人並んで、テレビを観ていた。この時間帯はバラエティ番組が多い。
特に理由もなく、テレビを点けたらそのチャンネルだったので見ている。
特に理由もなく、テレビを点けたらそのチャンネルだったので見ている。
暫くそうして、テレビを見ていたが、欠伸がひとつ。
ソファの背もたれに身体を預け、何度か瞬きを繰り返す。
それに気が付いたのか、そっと頭を撫でられる。
ソファの背もたれに身体を預け、何度か瞬きを繰り返す。
それに気が付いたのか、そっと頭を撫でられる。
「今日は、疲れたかい?」
響く声は、とても優しかった。髪の毛を梳くように、ゆっくりと撫でる手は骨ばっている。
「うん、少しだけ。でも、大丈夫。」
「そうかい。無理をしてはいけないよ。」
「少し、横にでもなるかい?」
そう言って彼は自分の太ももを、軽く叩いた。膝枕をすると言いたいらしい。
「じゃあ、お言葉に甘えて…。」
「はは、良いよ。減るもんじゃないし。」
言われるがままに、横になってみる。何故だか恥ずかしいが、それは仕方ない。
こういうことをするのは、初めてだったのだ。
こういうことをするのは、初めてだったのだ。
ソファの背もたれにかけてあったブランケットを広げて、掛けられた。
軽いが暖かく触り心地も良いそのブランケットは、私のお気に入りだ。
軽いが暖かく触り心地も良いそのブランケットは、私のお気に入りだ。
髪を梳くように撫でられ、そのままの流れで肩を撫でられた。
「いいよ、眠っておきなさい。」
「でも…。」
「大丈夫。」
瞬きの速度が徐々に遅くなる。彼の声は、耳の中で優しく響く。
対照的に、テレビの音はただのノイズとなった。
対照的に、テレビの音はただのノイズとなった。
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