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「…?」
咄嗟に顔を覆っていた麗花は、そっと手を下した。
しまった。
異常なまでに赤い空を見上げて麗花は、震えた。
辺りを見渡しても、響子の姿は見えない。
どうやら、麗花だけが此方に来てしまったようだ。
「どうしよう…。」
自分が何処に居るのか、確証が持てないまま麗花は神社のベンチに座り込んだ。
どうやって元の世界に戻るのか、まるで分からなくて途方に暮れる。
赤過ぎる空に、耳鳴りがする程の静寂。木々の影が不気味に伸びる。
「あれ…。私、影が無い…?」
自分の足元を見ると、いつもある影が無くなっていた。どういう事なのだろう。
思わず立ち上がって辺りを見渡す。
木々やベンチには、きちんと影がついている。
この世界にとって異物である麗花には、影がついていないのか。
「困ったな…。どうしたら帰れるんだろう。」
*
狐浄は、次の新月に備えた対策について、孤幻の守に報告をしていた。
「!」
「!」
狐浄は、異変に気が付いて顔を上げた。
結界を張った者のみがその結界が破られた事に、気が付く事が出来る。
「反転した者が出ました。」
「そのようじゃの。」
孤幻の守は、頷いた。
「ひとまず、式神を送ります。」
その様子を見た凛孤は、人の形をした札に何やら書き付けている。
何やら小さな声で唱えると、人の形をした札は、風も吹いていないのに飛んで行った。
「すぐに様子を見て参ります。」
「ああ、頼む。凛孤、お主も行って参れ。」
「かしこまりました。」
そうして二人は連れ立って、孤浄の神社へと足早に向かった。
「ったく、大事な話をしている時に…。」
「まあ、そう苛々してもしょうがないわよ。面倒な事にならないと良いけど…。」
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