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「ねえ、本当に行くの?」
「え、やっぱり駄目?」
響子は少し残念そうな顔をして、帰り支度をしている。
「神社の敷地に入るのは、やっぱりやめよう?」
「うーん。そっかあ。」
帰りのホームルームが終わった教室は、がやがやと騒がしい。
響子と共に教室を出て、麗花はどうしたらいいか暫く考えていた。
「私だけ行ってきても良いよ?」
考え込んでいる麗花を見て、響子はそう声を掛けた。
「でも、心配だよ。」
それが正直な気持ちだった。自分が取り残されたときを考えると、ぞっとした。
カラスの鳴き声が聞こえてくる。もうすぐ例の神社が見えてくるところだ。
とうとう、神社の前に着いた。神社はいつもの様に、静かに風が吹いている。
「麗花、着いたね。」
「うん…。」
不安の中、麗花は神社を見つめる。この前の様な事が絶対起こるとは言えない。
しかしあの耳鳴りのする様な静けさの世界は、そう簡単に忘れる事が出来ないものであった。
「私、様子見てくるから、麗花は此処に居て?」
「え、一緒に行くよ。」
響子が歩道と神社を繋ぐ石段を上るのを見て、麗花もその後を続いた。
あ、この石段だった。ふとそう思った時、足首を引っ張られる様な感覚に襲われる。
麗花は、自分の足元に蛇が絡みついているのを見た。蛇は、真っ白な身体で赤い目をしている。
「響子!」
前にいる響子を呼び止めようと、麗花は声を上げた。
「麗花?」
響子は振り向いたが、そこには誰もいなかった。ただただ、風が吹くばかりである。
「麗花!」
慌てて数段の石段を降りて、歩道の左右を見渡しても麗花の姿は見当たらなかった。
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