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お題:紫陽花
とうとう梅雨入りし、傘が手放せない日々が続いている。朝は晴れていても、夕刻には雨雲が立ち込める事がよくあった。私はその度に、少し憂鬱な気持ちになりながら、折り畳み傘を鞄から取り出す。濃い青色をした折り畳み傘は、以前母親から贈られたものだ。落ち着いた色合いが私にはまだ大人っぽく感じられて、この傘を手にする時は背筋が伸びる思いだった。ぽつぽつと傘に落ちる雨音を聞きながら、自宅へと足早に歩く。アスファルトには小さな水溜りが出来ていて、ひとつふたつと数えながら避けて歩いた。信号の光も、車のヘッドライトの光も、少し滲んで見える様な気がした。雨は世界の境界を滲ませ、曖昧にさせる。
いつつめの水溜りに、濃い紫色が映り込んでいるのを見てふと顔を上げる。近所の公園の入り口にある紫陽花である。濃い紫色に、雨の雫を乗せてさながらダイヤモンドが、輝いている様であった。そう言えば、と手持ちの折り畳み傘に目を向ける。こちらは濃い青色をしていた。どことなく紫陽花らしい色合いで、私は久し振りに憂鬱な気持ちが霧散するのを感じた。暫く紫陽花を眺めて、帰路の途中だった事を思い出しその場から歩き出す。足取りは自然と軽くなっていた。
とうとう梅雨入りし、傘が手放せない日々が続いている。朝は晴れていても、夕刻には雨雲が立ち込める事がよくあった。私はその度に、少し憂鬱な気持ちになりながら、折り畳み傘を鞄から取り出す。濃い青色をした折り畳み傘は、以前母親から贈られたものだ。落ち着いた色合いが私にはまだ大人っぽく感じられて、この傘を手にする時は背筋が伸びる思いだった。ぽつぽつと傘に落ちる雨音を聞きながら、自宅へと足早に歩く。アスファルトには小さな水溜りが出来ていて、ひとつふたつと数えながら避けて歩いた。信号の光も、車のヘッドライトの光も、少し滲んで見える様な気がした。雨は世界の境界を滲ませ、曖昧にさせる。
いつつめの水溜りに、濃い紫色が映り込んでいるのを見てふと顔を上げる。近所の公園の入り口にある紫陽花である。濃い紫色に、雨の雫を乗せてさながらダイヤモンドが、輝いている様であった。そう言えば、と手持ちの折り畳み傘に目を向ける。こちらは濃い青色をしていた。どことなく紫陽花らしい色合いで、私は久し振りに憂鬱な気持ちが霧散するのを感じた。暫く紫陽花を眺めて、帰路の途中だった事を思い出しその場から歩き出す。足取りは自然と軽くなっていた。
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