roika_works 【単発】世界で一番美しい色 忍者ブログ
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お題:瞬く (ぽぃさんより)

廊下ですれ違うその一瞬、彼女の姿を見付けた。向こうはお喋りに興じており、此方には気が付いていないようだった。肩より少し長めの、黒髪が窓から差し込む光できらりと彼女を彩る。廊下の角を曲がっていくまで、見惚れていた自分を遠くの方から友達が呼ぶ。

「早くしねえと、次の授業遅れるぞ。」

友達は、言葉こそ乱暴だが先に行ったり置いて行く事をしない。こいつはこいつで、お人好しである。自分の数少ない友人の内、親友と言うなれば彼の名を一番最初に挙げるだろう。

「悪いな。」

友達のいる場所へと追いつき、次の授業が科学の実験である事を思い出す。座学の授業よりも、実験の方が幾分かマシである。座学はとにかく眠気との戦いである。

「何かあったのか?」

友達は階段を曲がって行った、廊下の角を目線で追っていた。

「いや、何も。」

その後、友達からの追及も無かったので二人で実験室へと向かう。

授業の最初に、実験の説明と必要器具や注意事項の話があり、その後は各グループで言われた手順で実験を行う。実験で見る、液体の化学反応よりも、彼女の黒髪を照らした太陽の光の方が、この世界のどれよりも綺麗だと思った。

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