roika_works 【宴は満月の夜に】接点探し 忍者ブログ
Twitterで投稿した小説やイベント参加情報をまとめています
Admin / Write
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

「ただいま。」
不思議な体験をした麗花は、少しぼうっとしたまま帰宅した。今まで何度もあの神社へ通っていたが、こんな事は初めてだ。
「おかえりなさい、もうすぐ夕飯出来るわよ。」
母の声を聞きながら、二階の自室へと向かう。制服から、部屋着へと着替えながら、先程の男性の事を思い出していた。どうも人間らしくない風貌だった。肩より長い髪の毛は、月の色の様だった。紫色がかった瞳は、とても澄んでいた。名前を聞かれた麗花は、相手の名前を聞けば良かったと思った。
「れーいーかー!ご飯よ!」
「はーい!」
部屋でぼんやり考え事をしていたところ、母に呼ばれて一階のダイニングへと向かう。夕飯はどうやらカレーライスの様だ。母のカレーライスは、一級品だ。麗花の好物のうちの一つである。
「お父さんは?」
食卓につき、母に問う。
「今日は会社の飲み会なんですって。」
「ふーん。」
家族で揃って夕飯を食べる事が習慣となっていたので、なんとなく違和感があった。
「お母さんって、霊感あったりする?」
「ええ?無いわよ。」
「だよねえ…。私もだけど。」
突拍子も無い質問に、母は驚いていたようだ。麗花は今日体験した事について、何か自分の家系にヒントがあるのかと思い母に問うた訳だ。しかし、家系には特別な事は無さそうだった。麗花自身も、今日迄そういった体験をしたく無かった。
「何かあったの?」
母は心配そうに、麗花に声を掛ける。
「ううん、何も無いよ。」
「それなら良いけど…。」
それ以上、母は追求してこなかった。麗花はカレーライスを、ぱくりと一口。うん、今日も美味しい。

拍手

PR
HOME | 255  254  253  252  251  250  249  248  247  246  245 

忍者ブログ [PR]