roika_works 【単発】灯りの元に 忍者ブログ
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「あ」と呟きが聞こえるのと部屋の明かりが落ちたのは、ほぼ同時であった。手探りで窓際のカーテンを開けると、他の家も暗くなっている。どうやら停電のようだ。こうなっては仕方ない、復旧を待つばかりだ。この町では、停電はそう珍しいことではなかったです。大き目のキャンドルを用意し、マッチで火をつける。ほわりと柔らかな灯りが部屋を包み込む。「ありがとう」ふと聞こえた声に顔を上げると、ブランケットを肩まで引き上げた相手の嬉しそうな笑顔があった。この笑顔が見られるのなら、停電もたまには悪くないかもしれない。だなんて、自分らしくないことを考えていた。

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