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『単発』
・「孤独の淵」追加

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あなたは1人ぼっちだった。
あなたの心はいつでも1人ぼっちだった。
そこから救い出したくて、両手を伸ばす。
そっと触れた指先は、氷のように冷たかった。
この孤独の世界から、あなたを引っ張り出したかった。
我儘かもしれないが、自分に少しでも頼って欲しかったのだ。
1人ではないと知って欲しくて。

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『単発』
・「あの人の体温」追加
・「爪を塗る」追加

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傘にぽつりと雨粒が落ちる。
ひとつひとつ、雨粒は大きくなり、とうとう土砂降りの雨となった。
この季節の雨は、冷える。
指先が悴み、感覚が鈍る。
それでも手袋をしていないのは、あの人の手の温もりを忘れたく無かったからだ。
自分でも馬鹿げていると思う。
ただ、手を繋いだ温もりを後生大事にしているなんて。
馬鹿げている。本当に。
あの人は、そんなことまるで気にしていないというのに。
自分ばかりが、あの人を好きで堪らないという事実に
目を逸らしながら、土砂降りの雨の中を歩いた。

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久し振りに、ネイルをした。
自分でマニキュアを塗っただけの簡素なものである。
爪が彩られると、何故だか心も踊るようだ。
誰にも気付かれなくたっていい。
これは、自分自身の気持ちを維持する為にしていることだ。
職場に着き、隣の後輩に挨拶をする。
「ネイル、綺麗ですね。」
流石、女子というものだ。

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『私と君』
・「番外編:大雪のクリスマス」追加

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しんしんと雪が降り積もるなか、私達は居間で夕飯を食べる。
「今日、クリスマスですよね。」
智恵子は2人で囲む鍋の具材を取り分けながら、そう言った。
「噂では知っているよ?」
鍋の具で満たされた取り皿を受け取り、卓は縁側を見る。
珍しく積もりそうな雪の振り方をしている。
「やはり、何処か出掛けたかったかい?」
「いえ、卓さんと居られればそれで充分です。それに、この雪ですしね。」
「まあ、ねえ。こんなに降るとは思わなかったよ。」
この地域では異例の積雪だった。
普段あまり雪が降らないので、非日常感が町を包んでいた。
「天気予報って本当に当たるものですね。」
「そうだねえ。」
2人で鍋を食べながら、のんびりと過ごすのもまた良いものである。
世間で言うクリスマスとは、ほど遠い様な雰囲気ではあるが。
それが自分達には合っていると卓は思っていた。
煌びやかなイルミネーションに白い雪が被るのは、非常に幻想的な風景だろう。
夕飯を食べ終えて、片付けが済んでゆっくりお茶を飲もうということになった。
「さて、実は君に渡すものがあるのだよ。取ってきても良いかい?」
「私にですか?ありがとうございます。」
そうして一旦居間を離れる。
ふう、と1つ溜息を吐く。
雑然とした自分の書斎へと向かい、以前より用意していた小箱を取り出す。
さあ、いよいよ緊張してきた。
しかし、居間に智恵子を待たせている卓は早く戻らなければならなかった。
覚悟を決めて、居間へと戻る。
「お待たせ。」
「いいえ。」
落ち着いた君の声は、心地よく耳に響く。
智恵子の向かい側へと座った卓は、小箱を取り出してみせた。
「クリスマスプレゼントだよ。」
「わあ、ありがとうございます!」
嬉しそうに笑う智恵子の顔が見れて、卓は胸を撫で下ろした。
漸く緊張もさざ波の様に引いていく。
プレゼントに選んだのは、花をモチーフにしたアメジストの小さなネックレスだ。
智恵子は嬉しそうだが少し困った様な顔をして、卓に尋ねる。
「こんな高価な物を私が頂いて良いのですか?」
「勿論さ。気にすることないよ。」
「つけて頂いても…?」
「ああ、私がするよ。」
智恵子の側へ行き、卓は受け取ったネックレスを智恵子に着ける。
ほのかに香るシャンプーの匂いがした。
「はい、出来た。」
「ありがとうございます。似合いますかね?」
「うん、勿論さ。よく似合っている。」
恥ずかしそうに笑う智恵子を褒めると、頬を赤くした。

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『単発』
・「日の当たる場所の影」追加
・「一人ぼっちの苦悩」追加

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日向は太陽のお陰で、暖かい。
少し影のある路地裏は、湿度が高く空気が冷たい。
日向と日陰でこれ程までに違うものか。
日向が真っ当な世界なら、日陰は無法地帯だ。
薬物売買、武器の密輸、臓器売買、信じられないが、これが日陰の世界の日常だ。
もし、自分が日向の世界にいたら、とふと考える事もある。

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いつだって人を信じることが怖かった。
善意で優しい言葉をかけてくれる人さえも、私は壁を作り拒絶をしていた。
自分一人で生きていくのは、生半可なことでないのは分かっているつもりだ。
なんとかやっていけるはずだと腹を括って、その日その日を生きている。
私はまだ人を信じることができないままだ。

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