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そこで、麗花(れいか)は今日の一連の流れを、を狐浄(こじょう)に説明した。
親友に話しをして、2人で神社へ行こうということになり、神社へ来たこと。
一瞬、足首に赤目に白蛇が巻きついていたこと。
此方の世界に来た時に、睡蓮が札を渡し麗花の姿を隠してくれたこと。
2人の男性らしき物の怪が、神社内で麗花を探し回って他の場所に探しに行ったこと。
特に、2人の特徴は事細かく説明をした。
麗花が話しをしている間は、狐浄も凛狐(りんこ)も口を挟まなかった。
時間は掛かったが、麗花が知り得ることを全て話した。
「それで全部か?」
狐浄は、自分の額に手を置き溜息を吐いた。
「はい。そうです。」
深く頷いて、麗花はそう告げた。
「厄介なことになりそうだね、狐浄?」
凛狐もいつになく真剣な表情で、狐浄に問うた。
「ああ、厄介も厄介。まさか、龍神と蛇の目が手を組むとはな…。」
2人が話している内容がよく分からない麗花は、静かに黙っていた。
その様子に気が付いた凛狐は、麗花の肩に手を置き目線が同じ高さになるまで屈んだ。
「麗花ちゃんが悪い訳じゃないから、気落ちする必要は無いよ。」
「はい…。でも、ご迷惑をお掛けしてしまったのでは…?」
「まあ、お前さんが狙いだったのは確かだろう。何か心当たりはあるか?」
困った顔をする麗花に、狐浄は言う。
「いえ、何も…。」
「過去に川や海で、何かなかったか?」
「綺麗な石や貝殻を集めるのが好きで、持ち帰ったことなら何度か…。」
「そうか。そういった人間は、お前さん以外にも多くいるから、それが理由とはならないかもな。」
狐浄はそう言い赤く染まった空を見上げる。雲ひとつない、血の様に赤い空を。
「私は一旦、狐幻の守(こげんのかみ)様へ報告に行ってくるわ。」
「ああ、頼む。書簡は明日中に、俺が直接持って行く。」
「了解。それじゃあね。麗花ちゃんの話、聞いてやりなさいよ。」
「ったく。分かってるつーの。」
溜息を1つ吐いて、狐浄は凛孤に答えた。
「それなら良いわ。麗花ちゃん、またね。」
「はい。」
睡蓮を連れて凛孤は、神社を後にした。
なんとなく気まずい沈黙が流れる。
「お前さんが見た白蛇は、俺達と敵対している集団の象徴だ。」
「そうなんですか…。」
「奴等は、この世界を破壊して再構成するつもりだ。その為に、人間の反転が多くなっている。反転が立て続けに起こると、世界に揺らぎが発生しやすくなる。その揺らぎを最大限利用して、この世界を潰すつもりだ。」
「それは…。人間の世界にも影響が出るのですか?」
「まあ、多少なりともあるだろうな。どの程度の影響が出るのか、まだ俺でも分からんが。」
大層な話になり、麗花は孤浄の話についていくのがやっとだった。
その反転とやらが鍵となっており、自分が反転してこの世界へとやってきたのは分かった。
「お前さんは、反転しやすいのだろうな。澤野だろ?姓に水が関連しているから、龍神がこちらに引き込みやすいんだろうと思う。仮説だけどな。」
そう言って孤浄は麗花の様子を伺う。やはり、申し訳なさそうな顔をしたまま、手をぎゅっと握り締めたままだった。
「お前さんは悪くない。利用しようとしている奴等が悪いんだ。」
「はい…。」
「全面戦争とまではいかなくても、彼方此方で小競り合いが起こる筈だ。お前さんは、人間界に戻る方が良いだろう。」
「何も出来なくて、ごめんなさい。」
麗花はそう言うとぽつりと涙を溢した。この世界の揺らぎを増幅させてしまったのは、紛れも無く麗花の反転の影響もあるからだ。
ぽつりぽつりと零れる涙が、制服のスカートに濃く染みを作っていた。
何も出来ず、ただ元の世界に帰ることが、麗花は悔しかった。
ただ、この世界で麗花は無力だった。何も出来ないのは、重々分かっていた。
「私を囮にして、例の2人組みを此処へ呼び戻すことは可能ですか?」
「やろうと思えば出来るだろう。しかし、お前さんへ危害を加える可能性が高い。却下だ。」
「私、このままじゃ帰れません。」
「そんなこと言ってどうする。お前さんは、人間世界に戻って暮らした方が、安全だ。」
「嫌です。帰りません。」
麗花は頬を伝っていた涙を、制服の袖で拭って孤浄の目を見てそう伝えた。
意志を持った目は孤浄の目を射抜いていた。それ程に、麗花は覚悟を決めていたのだ。そこで、麗花(れいか)は今日の一連の流れを、を狐浄(こじょう)に説明した。
親友に話しをして、2人で神社へ行こうということになり、神社へ来たこと。
一瞬、足首に赤目に白蛇が巻きついていたこと。
此方の世界に来た時に、睡蓮が札を渡し麗花の姿を隠してくれたこと。
2人の男性らしき物の怪が、神社内で麗花を探し回って他の場所に探しに行ったこと。
特に、2人の特徴は事細かく説明をした。
麗花が話しをしている間は、狐浄も凛狐(りんこ)も口を挟まなかった。
時間は掛かったが、麗花が知り得ることを全て話した。
「それで全部か?」
狐浄は、自分の額に手を置き溜息を吐いた。
「はい。そうです。」
深く頷いて、麗花はそう告げた。
「厄介なことになりそうだね、狐浄?」
凛狐もいつになく真剣な表情で、狐浄に問うた。
「ああ、厄介も厄介。まさか、龍神と蛇の目が手を組むとはな…。」
2人が話している内容がよく分からない麗花は、静かに黙っていた。
その様子に気が付いた凛狐は、麗花の肩に手を置き目線が同じ高さになるまで屈んだ。
「麗花ちゃんが悪い訳じゃないから、気落ちする必要は無いよ。」
「はい…。でも、ご迷惑をお掛けしてしまったのでは…?」
「まあ、お前さんが狙いだったのは確かだろう。何か心当たりはあるか?」
困った顔をする麗花に、狐浄は言う。
「いえ、何も…。」
「過去に川や海で、何かなかったか?」
「綺麗な石や貝殻を集めるのが好きで、持ち帰ったことなら何度か…。」
「そうか。そういった人間は、お前さん以外にも多くいるから、それが理由とはならないかもな。」
狐浄はそう言い赤く染まった空を見上げる。雲ひとつない、血の様に赤い空を。
「私は一旦、狐幻の守(こげんのかみ)様へ報告に行ってくるわ。」
「ああ、頼む。書簡は明日中に、俺が直接持って行く。」
「了解。それじゃあね。麗花ちゃんの話、聞いてやりなさいよ。」
「ったく。分かってるつーの。」
溜息を1つ吐いて、狐浄は凛孤に答えた。
「それなら良いわ。麗花ちゃん、またね。」
「はい。」
睡蓮を連れて凛孤は、神社を後にした。
なんとなく気まずい沈黙が流れる。
「お前さんが見た白蛇は、俺達と敵対している集団の象徴だ。」
「そうなんですか…。」
「奴等は、この世界を破壊して再構成するつもりだ。その為に、人間の反転が多くなっている。反転が立て続けに起こると、世界に揺らぎが発生しやすくなる。その揺らぎを最大限利用して、この世界を潰すつもりだ。」
「それは…。人間の世界にも影響が出るのですか?」
「まあ、多少なりともあるだろうな。どの程度の影響が出るのか、まだ俺でも分からんが。」
大層な話になり、麗花は孤浄の話についていくのがやっとだった。
その反転とやらが鍵となっており、自分が反転してこの世界へとやってきたのは分かった。
「お前さんは、反転しやすいのだろうな。澤野だろ?姓に水が関連しているから、龍神がこちらに引き込みやすいんだろうと思う。仮説だけどな。」
そう言って孤浄は麗花の様子を伺う。やはり、申し訳なさそうな顔をしたまま、手をぎゅっと握り締めたままだった。
「お前さんは悪くない。利用しようとしている奴等が悪いんだ。」
「はい…。」
「全面戦争とまではいかなくても、彼方此方で小競り合いが起こる筈だ。お前さんは、人間界に戻る方が良いだろう。」
「何も出来なくて、ごめんなさい。」
麗花はそう言うとぽつりと涙を溢した。この世界の揺らぎを増幅させてしまったのは、紛れも無く麗花の反転の影響もあるからだ。
ぽつりぽつりと零れる涙が、制服のスカートに濃く染みを作っていた。
何も出来ず、ただ元の世界に帰ることが、麗花は悔しかった。
ただ、この世界で麗花は無力だった。何も出来ないのは、重々分かっていた。
「私を囮にして、例の2人組みを此処へ呼び戻すことは可能ですか?」
「やろうと思えば出来るだろう。しかし、お前さんへ危害を加える可能性が高い。却下だ。」
「私、このままじゃ帰れません。」
「そんなこと言ってどうする。お前さんは、人間世界に戻って暮らした方が、安全だ。」
「嫌です。帰りません。」
麗花は頬を伝っていた涙を、制服の袖で拭って孤浄の目を見てそう伝えた。
意志を持った目は孤浄の目を射抜いていた。それ程に、麗花は覚悟を決めていたのだ。
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