roika_works 忍者ブログ
Twitterで投稿した小説やイベント参加情報をまとめています
Admin / Write
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

ふう、と蒲公英の綿毛に優しく息を吹きかける。綿毛が風に乗り、あちらこちらへと飛んでいく。たった今迄この1つの茎に皆付いていたのに、今では何処へ行ってしまったか分からない。卒業後疎遠になった、クラスメイト達の事を思い出した。もう何年も前の事であり、今更寂しいとは思えなかった。

拍手

PR
光に誘われるように、そっと窓辺へと向かう彼女。春と言っても、夜はまだ冷える。「月が明るいわ。」カーテンの隙間から夜空を見上げた彼女は、嬉しそうにそう言った。「どれ、僕も見てみようか。」と二人並んで窓辺から、夜空を見上げた。確かに月は明るかった。矢張り少し肌寒く、そっと手を繋いだ。

拍手

駅は、いつに無く混み合っていた。『帰宅ラッシュと重なるの忘れてた…。』セーラー服の少女は、人混みに困惑しながらもどうにかして、目的のプラットホームへと辿り着く。当然ながら、プラットホームも混雑している。人の隙間をぬって歩いていたら、黄色のブロックより外側に出てしまった。誰かにぶつかり、足がよろめく。踏ん張ろうとした足がもつれる。『落ちる!』と思った瞬間に、空を切る手を力強く握られた。「危なかったね、大丈夫?」黒いスーツに黒いコートを着た、細身のサラリーマン風の男が優しく声をかけた。「す、すみません。大丈夫です。」プラットホームの内側へ戻ったら、掴まれた手が途端に恥ずかしく感じられた。「君に死なれると、困るんだよ。」サラリーマン風の男は、冗談めいたように言う。セーラー服の少女は言われた言葉の意味を理解できなかった。「それは、どういう…?」サラリーマン風の男は、少女に耳打ちをした。「僕は、死神なんだ。だから、君に今死なれたら、僕の仕事が無くなるだろう?」

拍手

月がやけに明るい夜だった。街灯の少ない田舎道でも、歩く自分の影が見える程である。冬の空気は、凛と澄んで肺に流れ込む。ふわふわと白い吐息が、霞のように消えゆく。空には星も散らつき、煌々と輝いていた。冬の夜は嫌いでは無かった。空気が澄み、宇宙が近くなったような気がするからだ。

拍手

猫がひとつ欠伸をし、くるりと丸まって寝始めた。自分の左側辺りに、ゆったりと寛いでいる。この距離が丁度良く心地良く思った。ゆっくりと呼吸の度に、背中の毛が上下をしている。『嗚呼、生きているんだなあ』と、その様子を見て安心して、丸まった背中を撫でる。するりとした毛並みに幸せを感じた。

拍手

こくり、と隣の頭が揺れている。目もぼんやりとしており、瞬きの速度が徐々に落ちていく。『遠出だったから仕方ないな』と思い、彼女の様子を伺う。久し振りに遠出をしてみたら、彼女は嬉しそうに、辺りをぐるりと周り、昼食もしっかり食べていた。また、一緒に行けたらいいなと思い、彼女の手を握る。

拍手

幸せは何色だろう。人によって違っていて、何通りもあるのかもしれない。ウェディングドレスの白、満開の桜の桜色、子供の小さい掌の色、静けさを保つ雪の色、艶やかな紅葉の色、遠くまで澄んだ海の瑠璃色、初夏の伸びゆく木々の青緑。上げていたらキリがない。あなたの幸せの色は、何色ですか?

拍手

「力になりたいだなんて、傲慢よ。」この程度でへこたれる彼で無いことは、分かっていた。「笑顔でいられるようになるなら、何でもする。」そこで私はひとつの答えを出した。「私の友達になってよ。」と小さな声で呟く。「もう、友達だろ?」と、彼は不思議そうな顔をする。思わず私は笑ってしまった。

拍手

リスクを気にせず、助けの手を差し出してくれる人がいたら、どれだけ幸せなことだろう。自分は子供であり、学校と家の中という狭い世界で生きている。そこから逃れられる術を持っていないのだ。親に蹴られて出来たアザを隠すように、分厚いタイツを履いて学校へ行く。誰でもいいから助けて欲しかった。

拍手

ふと目が覚めた。カーテンの隙間より、朝日が差し込み壁が暖かく照らされていた。昨日は仕事の疲れもあって、泥の様に眠るだろうと思っていたが、結局は仕事に行く時と同じ位の時刻に目が覚めていた。『良くも悪くも、体内リズムが固定されているのだから仕方ないか』そんな事を思いながら、シリアルを深めの皿に適当に盛り牛乳をかける。何の変哲も無い、唯の休日だがこれはこれで良いものだと思っている。誰にも支配されず、自分の好きな様に過ごせる貴重な休みだ。さて、今日は何をするか。

拍手

49  50  51  52  53  54  55  56  57  58  59 

忍者ブログ [PR]