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『何気ない高校生活』
・「考え事」1本追加

『単発』
・「偽善者に捧ぐ」、「涙で濡れるアスファルト」2本追加

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ぽたり、と空から雨粒が落ちるのと、彼女の目から涙が溢れるのは殆んど同時だった。

「ごめん。好きな人居るんだ。」
「知ってた。分かってたよ。」

こういう時に気の利いた言葉ひとつ言えない自分自身が情けない。彼女はそれきり黙って、ハンカチで目元を押さえた。アスファルトを濡らした雨粒と涙は混じり合い、地面に幾つもの水玉模様を作っていた。

「いつも見てたから、分かってた。それでも、伝えたかったの。ごめんね。」

彼女は最後に笑って見せた。彼女の瞳は、煌めいた涙で輝いていた。

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帰りがてら、ふと美咲と連絡先を交換した事を思い出す。最初は何て送るべきだ。放課後のこの時間帯は、部活中であろうし気が散る様な真似はしたくなかった。夜でいいか…と、聡史は一旦考えを中断し最寄り駅へと足を運ぶ。自分も怪我さえなければ、今頃は野球部に入部していただろうか。野球は好きだった。しかし、自分の身体を壊してまでやる事に抵抗があったのだ。この学校では、甲子園はおろか、地区予選ですら危ういと冷静に思う。ここまで考えたが結局のところは、故障した肘に無理して負担を掛けるのが怖かったのだ。中学の時は軽度で済んだが次はどうなるか分からない。自分は野球とは縁を切った身なのだ。漸く駅の改札口を抜けて、電光掲示板を見上げる。次の電車は三分後に来るらしい。

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大丈夫という根拠も責任も無い言葉は嫌いだ。私は蚊帳の外ですという風な顔をして、上から目線で言ってくる人の気が知れない。それで慰めたつもりになって、自分の自尊心を維持しているだけだろう。偽善者の言葉程、信用ならないものは無い。何がどう大丈夫なのか、問いただしたい。何も知らない癖に。

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『何気ない高校生活』
・「心の変化」、「君を知りたい」2本追加

『単発』
・「最後の夏」1本追加

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日直の当番が同じになった日から、挨拶はする様になった。美咲は誰にでも分け隔てなく接するので、自分だけが特別では無いと分かっていた。そう自分に言い聞かせた。美咲の事を、聡史はあまり知らなかった。入っている部活や、学校関連の事は多少分かる様になった。好きなアーティスト、好きな風景、行ってみたい場所。プライベートな事は、何も知らなかった。聡史はもっと美咲の事を知りたいという、思いが日に日に強くなっていた。

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静かに文庫本を読んでいた、男子学生。それが聡史だった。少し話し掛けにくい雰囲気を纏っていた聡史は、それでもクラスの中では浮いていなかった。美咲は今回の席替えで隣になるまで、聡史と殆ど関わりがなかった。それは、お互いに共通項が殆ど無かったからである。しかし、席替えで席が隣になった時に、

「松井、よろしくな。」

と短く挨拶をしてくれた聡史に、美咲は今迄抱いていた印象が変わったのである。人付き合いが苦手というよりも、照れが先に来るという事だと分かった。

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じりじりと太陽の光が、肌を焼く。すっかり、夏の盛りといった気候だ。額から伝う汗をリストバンドで乱暴に拭き、帽子を被り直す。さあ、戦いだ。俺達の最後の夏は、審判の「プレイボール!」という力強い言葉で開始された。そこで一気に、神経が徐々に張り詰めていくのを感じた。この緊張感は好きだ。

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『私と君』
・「思い出を積み重ねる」1本追加

『単発』
・「立ち込める暗雲」、「あなたとわたし」、「煌めく話に耳を傾けて」3本追加

『その他』
・長編連載ページリンク修正

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お題:虹色鉛筆 (ぽぃさんより)

彼女の話は聞いていて楽しい。目を輝かせ、時折身振り手振りで話しをする。それを見ているだけでも、飽きる事は無い。自分がずっと黙っているからか、彼女は少し頬を膨らませた。

「ねえ、聞いてる?」
「勿論。」

そう答えると彼女は話し始めた。表情がくるくると変わる所が好きだなとふと思った。

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