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呼吸をすることに、罪悪感を抱く様になったのはいつからだろうか。気が付いたら真昼の街を歩くのに、日陰を探すようになっていた。表通りよりも、薄暗い裏道を好む様になったのはいつからだろうか。自分自身を表現するのに、日陰者だと思う様になったのはいつからだろうか。今では、もう思い出せない。

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お題:僕がこの世界にいなければ

僕がこの世界にいなければ、こんなことは起こらなかった。家族や友人や彼女を、傷付けることなんてなかった。僕は人間じゃなかった。人間のなり損ないだ。それでも、皆これまでと変わらずに接してくれる。それが、嬉しくもあり無理をさせているのではと心配で仕方なかった。僕がこの世界にいなければ。

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時間は戻らない。時間は進められない。過去に戻る事も、未来へ行く事も出来ない。僕等は今を生きるしかない。例えそれがどんなに辛くても、今以外の場所に僕等の居場所は、ありはしないのである。昔は良かったと苦笑して紫煙を吐き出す君も、今以外の場所には存在すら出来ない。時間は、残酷で平等だ。

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微風に秋の匂いが混じる、この時節の事を何と言うのだろうか。隣を歩く貴女は、ストールを羽織り歩いている。その度に細い手首が、ストールの隙間から覗く。手を取り合って貴女と共に歩くには、僕はまだ子供過ぎる。手持ち無沙汰なのを誤魔化す様に、道端に生えている雑草を千切ってそれを手に歩いた。

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お題:ミートパイ

僕が子供の頃、姉さんはよくミートパイを作ってくれた。歳の離れた姉さんは、僕の事をとても可愛がってくれたと最近気が付いた。ふと、ミートパイを見かけると姉さんの事を思い出す。僕にとって家庭の味の一つである。姉さんは、もうすぐ子供が生まれる。きっとその子も、ミートパイを食べるのだろう。

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お題:輪切りのトマト

ザクザクと野菜を切る音がする。キッチンに立つ君は、手際良く料理をしている。彼女は料理が好きで、よく手料理を振る舞ってくれる。テーブルには、サンドウィッチとサラダとスープが用意された。彼女はにこりと笑ってアイスコーヒーをテーブルへ置いた。二人でサンドウィッチを頬張る。夏の味がした。

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お題:ひみつ

唇が離れた時、言葉を発しようとしたが遮られた。人差し指を唇にあてて、静かにと口だけが動く。ガヤガヤとした校舎の中、空き教室で僕等は逢瀬を繰り返していた。空き教室だからといっても、誰も来ないという保証は何処にも無い。このことは、誰にも知られてはいけない。僕等二人だけの、秘密である。

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お題箱より、お題:青空

夏の雲は、どの季節よりも良い。もくもくとした積乱雲が、夏らしい群青の空に浮かんでいるのを見ると、また一年が過ぎたと実感する。星は昼でも輝いているというが、君は果たしてどの星になったのだろうか。この青空の下では、幾ら探しても見付けることは出来ない。君からは僕が見えているのだろうか。

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お題箱より、お題:カーテンの隙間から

カーテンの隙間から、朝陽が差し込む。小鳥の囀りや虫の声が、静かな朝によく響いている。隣で寝息を立てているあなたを起こさぬ様に、そっとベッドを抜け出した。キッチンで珈琲を淹れながら、あなたが起きるのを待つ。静かな朝に珈琲の香りが豊かに香る。これがいつもの朝、なんでもない毎日である。

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2017/10/28 第6回Text-Revolutions頒布物のお品書きです。
無料配布の折本やペーパーもありますので、お気軽に「C-20」まで遊びに来て下さいね。
お待ちしています♪

■スペース
C-20

■新刊/新作
『さえずる小鳥』
『鮮やかな色味』 ※300SSラリー参加作

■既刊
『それぞれの光の元で』
『名無しの裏稼業』
『四季の言葉遊び』 ※ゴブガリ企画参加作

■他
布製ブックカバー、ブックマーカー

■無料配布
『飛行機雲』(書き下ろしSS)
『ろゐか新聞』(書き下ろしSS+通販案内)






当日のお買い物には、twitterのモーメントplagをご確認下さいませ。
頒布物の取り置きについては、twitterのDMにてお申し付け下さい。

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